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インターナショナル新書 034

『へんちくりん江戸挿絵本』

小林ふみ子

作品紹介

現代の漫画とみまごうトンデモな発想が江戸時代にあった!

多彩な出版文化が花開いた江戸。本書で取り上げるのは、それらさまざまなジャンルの本を徹底的にいじり倒したパロディ本である。遊里に遊ぶ神仏、おかしな春画、トンデモ実用書、センス抜群の模様帳、へんてこ妖怪、奇妙な地図……。
黄表紙、滑稽本、狂歌本、春本などにみえる、日本美術の範疇からこぼれ落ち忘れられていた貴重な「へんな和本の挿絵」100点以上を掲載し、その見所を解説する。

推薦!
諸星大二郎氏
「私は変なモノが好きですが、江戸時代、私以上に変なモノが好きだったり、真面目にフザケていた人たちがこんなにいたんですね!」

田中優子氏
「なんと多様豊饒な発想! この江戸を覗いたら、日本に希望が持てます」

「知」を「絵」でちゃかす江戸挿絵本の魅力!
(掲載図版より抜粋)

●第1章
神仏の巻:遊里に遊ぶ地蔵と釈迦/手をレンタルして儲ける千手観音
●第2章
思想の巻:中国七賢の変なジャンケン 
●第3章
学問の巻:奇妙な星座(梅星、起上小星<おきあがりこぼし>)/性器を動植物になぞらえた図譜・仕周鯛(したい)とは? 
●第4章
文学の巻:唐詩選のパロディ春画は天狗と花魁、僧侶と女形、脱衣婆と美男など多様性の宝庫
●第5章
実用書の巻:脇差しをさやごとのむ術、火の上を走る術、うつ病をなおす術などのトンデモ実用書
●第6章
模様図案の巻:希代のアイデアマン山東京伝考案の鼻毛、もやし、するめ、やぶ蚊、足袋などを使ったセンス抜群の模様とは?
●第7章
怪異の巻:妖怪のら息子、しわん坊(ケチのこと)、癇癪の虫etc.
●第8章
日本の巻:「日本国」ならぬ「月本国」とは?
●第9章
世界の巻:女護が島、毛人国、後眼国、羽民国はどこに?

担当編集者より

美術鑑賞が趣味で、年に250箇所ほどの美術展やギャラリー巡りをしています。日本美術の魅力的な展覧会も多いのですが、ここ最近は同じようなテーマの美術展も多く、傲慢にも日本美術についてはほとんど見つくしたと感じていたのも事実。そんな私に「浮世絵や肉筆画だけでなく、江戸時代にはまだほとんど知られていない面白くて魅力的な挿絵の世界があるんですよ」と教えてくれたのが著者の小林さんでした。そして、まず見せてもらったのが京伝考案の模様図案。一見、ミナペルホネンやマリメッコのような可愛い模様なのですが、よくよく見るとそれらの模様はシラミやヤブ蚊、ゴボウの切り口でできていて、果ては鼻毛を放射状に配した模様まで! なんという斬新な発想、そして遊び心! しかも単なるお遊びではなく、実際に商品として販売もされていたと聞いて、江戸の美術、そしてそこに生きていた人びとに改めて興味を持ちました。
江戸文化は町人が作ったというのは誤解であること、彼らが文芸に打ち込んだ背景には身分差別があったことなど、挿絵を手掛かりに江戸という時代の認識までがガラガラと崩れていきました。
本書には、見るだけで笑ってしまう面白い挿絵をたくさん掲載しましたが、挿絵の書かれた背景まで丁寧に解説していますので、日本美術や江戸の文芸に興味のある方には、より楽しんでいただけるはずです。

定価 本体860円+税
発売日 2019年02月07日
ジャンル 歴史・地理
書名(カナ) ヘンチクリンエドサシエホン
新書判 256ページ
ISBN 978-4-7976-8034-8
Cコード C0271

著者

写真写真

小林ふみ子(こばやし ふみこ)

法政大学教授。1973年、山梨県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は日本近世文学・文化。著書に『天明狂歌研究』(汲古書院)、『大田南畝 江戸に狂歌の花咲かす』(岩波書店)、編著に『絵入吉原狂歌本三種』(太平書屋)、共著に『「狂文宝合記」の研究』『江戸見立本の研究』(ともに汲古書院)、『別冊太陽 北斎決定版』(平凡社)ほか。

好評既刊

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