角幡唯介さんコメント

大学時代に探検部というクラブに入ってから、冒険活動、探検活動を20年ほど続けてきました。
今回はどういう考えをベースに冒険のテーマを決めているのか、ということを1冊の本にまとめてみました。
今考えているのは、いかにしてシステムというものの外に飛び出すのか、どのようなテーマで行動したら冒険になるのか、といったことです。 例えば、なぜ今のエベレスト登山は冒険ではないのか?
逆に、昔のナンセンの北極海漂流やピアリーの北極点遠征がなぜ冒険であったのか?
これらのようなことを分析しながら冒険の本質について論じました。
冒険について総合的に論じた初めての本だと思います。この本を読めば「冒険とは何か」ということがよく分かると思います。

書影
  • tweet
  • facebook
  • google plus
  • hatena
インターナショナル新書 023

『新・冒険論』

角幡唯介

作品紹介

これが真の冒険だ! スポーツ化してしまった現代の「冒険」を一刀両断!

チベット・ツァンポー峡谷の人類未踏部踏破、北極圏で闇の世界を80日間歩く極夜行……。
数々の独創的な挑戦を行ってきた著者による、初の冒険論。
真の冒険の例として、ピアリーやナンセンの北極探検を挙げ、マニュアル化されたエベレスト登山やアドベンチャーレースなどといった、スポーツ化した「疑似冒険」を喝破する! 日本人で初めて冒険の本質に迫った、画期的論考!

高橋源一郎氏推薦!

担当編集者より

突然ですが、皆さんはセイウチに襲われたことはありますか?(ってあるわけないですよね。)
角幡さんは北極でカヌーを漕いでいるときに襲われたことがあるそうです。氷の間を突然身の丈4メートル近くあるセイウチが牙むきだしで海中から飛びだしてくるとか……。
本書の発売日を前に、角幡さんはまた北極へと冒険に旅立ってしまいました。今頃カヌーでセイウチをかわしているのかもしれません。
私は本書の担当でありながら、冒険は聞くだけ読むだけのインドア派です。冒険出発前の角幡さんを「どうか、ご無事で……!」と送り出すくせに、帰国後の報告会では、角幡さんの身にふりかかった危険なエピソードを楽しく聞いてしまうのです。とはいうものの、冒険というものについて、今まで深く考えたことがなく、角幡さんの行為が、他の探検家のものとどのように違うのか、実のところよく理解できていませんでした。
本書を読んで、角幡さんが真の冒険を目指していること、そのユニークさや奥深さがよくわかりました。真の意味で「冒険」を行っている探検家は、角幡さんの他には数える程しかいないのでは!? と思い始めました。今や未踏峰登山ですら、冒険ではないのだとか。では何が冒険を冒険たらしめるのか。
角幡さんファンはもちろん、ピアリーやナンセン、服部文祥さんなどの本が好きな方にも、是非読んでいただきたい1冊です。

定価 本体740円+税
発売日 2018年04月06日
ジャンル 哲学・思想
書名(カナ) シン・ボウケンロン
新書判 224ページ
ISBN 978-4-7976-8023-2
Cコード C0295

著者

写真写真

角幡唯介(かくはた ゆうすけ)

作家、探検家。1976年、北海道生まれ。『空白の五マイル』で開高健ノンフィクション賞、大宅壮一ノンフィクション賞、『雪男は向こうからやって来た』で新田次郎文学賞、『アグルーカの行方』(以上集英社文庫)で講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『漂流』(新潮社)、『極夜行』(文藝春秋)などがある。

好評既刊

pagetop