松原仁さんコメント

私は5年ほど前から、ショートショートの神様と言われている作家・星新一さんの作品のような小説をAIに書かせることを目指して研究をしています。これは「AIに創造性を持たせることはできるのか」という私たちの大きな夢のひとつです。この試みの中で私たちは、「創造性とは一体なんなのか」ということを議論してきました。本書には、将棋という舞台で創造性を発揮している羽生善治さんとの対談も収録しています。ぜひ手に取っていただけますと幸いです。

書影
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インターナショナル新書 022

『AIに心は宿るのか』

松原仁

作品紹介

羽生善治永世七冠との対談「AIは『創造的な一手』を指せるのか」収録!

AIに執筆させた小説が、「星新一賞」の一次審査を通過したことで脚光を浴びた「きまぐれ人工知能プロジェクト 作家ですのよ」。同プロジェクトを主宰する著者は、「鉄腕アトムのような汎用AIの実現」を目標に掲げ、30年以上にわたって研究を続けてきた。
独創的な物語を紡ぎ、絵を描き、プロ棋士を凌駕する知能すら獲得したAIが、アトムのように「心」を宿し、限りなく人に近い存在として社会へ進出する日は来るのか? 研究の最前線から、AI社会の未来を予見する。
さらに、AIの躍進が顕著な将棋界を代表するプロ棋士、羽生善治との対談も収録。AIによる常識破りの戦略や知見を抵抗なく受け入れ、成長を続ける「AIネイティブ世代」をヒントに、AIと人間の関係を分析・考察する。

担当編集者より

芸術を愛でる心、そして新たな芸術を生み出す心は、地球上で人類のみが有する稀有な能力のひとつでしょう。しかし、近年AIは、作家のように破綻のない物語を創作し、将棋や囲碁のトップ棋士を驚嘆させるほどの「新手」(それまで指されなかった新たな指し手)を生み出すまでに飛躍的な進歩を遂げました。
汎用AIの研究を30年以上にわたって続けてきた松原仁氏は、そんなAIの活躍を目にするたびに、歓喜すると同時に、嫉妬にも似た「悔しさ」を覚えるのだと言います。この悔しさの正体は一体何なのか? そして、「人の似姿」であるAIが社会に進出したとき、私たちの日常はいかに変容していくのか? 本書では、AIという映し鏡を通して、未だ解明されない「人の心」を探求していきます。

「めまぐるしく更新されてゆく『テクノロジー』を題材にした本だからこそ、3年後には賞味期限が切れているような瞬間消費的なものにはしたくない」。これは、この本の制作中に私が一貫して抱いていた思いです。
本書が10年、20年と、長く、広く読み継がれていくことを願っています。

定価 本体700円+税
発売日 2018年2月7日
ジャンル 科学
書名(カナ) エーアイニココロハヤドルノカ
新書判 176ページ
ISBN 978-4-7976-8022-5
Cコード C0204

著者

写真写真

松原仁(まつばら ひとし)

工学博士。1959年、東京生まれ。東京大学理学部情報科学科卒業、同大学院工学系研究科博士課程修了。通商産業省工業技術院電子技術総合研究所(現産業技術総合研究所)を経て、2000年より公立はこだて未来大学教授。人工知能、ゲーム情報学を専門とし、2014-16年には第一五代人工知能学界会長を務める。『鉄腕アトムは実現できるか?』(河出書房新社)、『わくわくロボット教室』(集英社)など著書多数。

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