林望さんのコメント

世の中には、「古今の名著といわれるものを遍く読まなければ読書人として認められない」と思っている方がいます。しかし、自分が本当に読みたい本をじっくり読むということをもっと大事にすべきなのではないでしょうか。

「その人の人生において、真に役に立つ読書とは何か」ということを考えると、実利的には役に立たない読書のほうが実は人格形成の意味では役に立つのではないか……そんなパラドキシカルな思いを込めて本書を執筆しました。

書影
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インターナショナル新書 009

『役に立たない読書』

林望

作品紹介

源氏物語から大藪春彦まで。
「自分が読みたい本を読む」
リンボウ先生初の読書論!!

仕事や生活に役立てたい、情報通になりたい……。最近は読書に実用的な価値ばかりを求め、本をゆっくり味わうという本来の楽しみ方を忘れてしまった人が多いのではないだろうか。本書では、そのような傾向に異を唱えるリンボウ先生が、読者を世間の流行や他人の声に惑わされず心から楽しむ読書へと導く。古書店との付き合い方、朗読の魅力、蔵書の整理法や、難しいと思われがちな古典作品の魅力と読み方も、書誌学の専門家としての知識を交えながらわかりやすく解説する。書物に触れる真の歓びに満ちた画期的読書論。

担当編集者より

本書は、著者初の読書論です。読書とは本来娯楽なのだから、本は好奇心のおもむくままに読むべきだという、本好きにはたまらない楽しい一冊です。本に触れる喜びも語られ、古書店との付き合い方や本の整理方法などにも書誌学の専門家ならではの視点が伺えます。『源氏物語』や『平家物語』の現代語訳をされ、古典の真髄を知り尽くしたリンボウ先生は、その魅力もわかりやすく解説。清少納言が現代に蘇ったかのような「枕草子」の現代語訳も味わっていただけます。
編集する過程でお仕事場地下の書庫を拝見したり、別荘に伺ったりする機会を得ました。どちらも先生のお考えが隅々まで反映されていて、美しく温かく居心地のいい場所で、ご執筆へのなみなみならぬこだわりも伺えました。オビに掲載したのは書庫でのリンボウ先生。所蔵の貴重な江戸時代の本や、明治時代の美しい装丁の本も、写真と共に先生がその魅力を紹介されています。読んでいただければリンボウ先生のように自分だけの宝物を探しに古書店を訪れてみたくなることでしょう。

定価 本体720円+税
発売日 2017年4月7日
ジャンル 文芸・芸術
書名(カナ) ヤクニタタナイドクショ
新書判 208ページ
ISBN 978-4-7976-8009-6
Cコード C0295

著者

写真写真

林望(はやしのぞむ)

作家。国文学者。1949年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程満期退学。ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。『イギリスはおいしい』(平凡社)で第39回日本エッセイスト・クラブ賞、『ケンブリッジ大学所蔵和漢古書総合目録』(P・コーニツキとの共著、ケンブリッジ大学出版)で国際交流基金国際交流奨励賞、『林望のイギリス観察辞典』(平凡社)で講談社エッセイ賞、『謹訳源氏物語』(全10巻、祥伝社)で毎日出版文化賞特別賞を受賞。著著に『謹訳平家物語』(全4巻、祥伝社)ほか多数。

好評既刊

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