岩下尚史さんコメント
もとより、これを読めば金が儲かる、知識を蓄えられる、あるいは癌にならずに済むといった效用は、それこそ卯(う)の毛の先の露ほどもないことを、あらかじめ申して置きます。版元より問われるまま、平成改元から二十数年を経て、ずいぶん変わってしまった私たちの暮らしぶりに対して、どんよりとかすかな違和の感を表しながら応えた放談をまとめたもの。それも若い頃、明治大正生まれの年寄りたちに教えられた時の口真似に過ぎませんが、心ごころにお取りになり、お読み捨て下さいましたならばありがたく存じます。